活気を取り戻す商店街 土原新店街 オーナー・大久保裕元さんインタビュー

地方都市ではシャッター通りと化した商店街が珍しくない中、萩市中心部に軒を連ねる土原新店街では、現在、20のテナントが入っており、空き店舗は、わずか1軒を残すのみとなっています。かつての活気を取り戻した土原新店街のオーナー・大久保裕元(おおくぼ・ひろもと)さんにお話を伺いました。

大久保さん

Q.土原新店街の歴史や思い出などを教えてください。
A.昭和50年頃、祖父が所有していた土地に、1棟に5~6店舗入る建物を5棟建てて商店街にしたのが始まりです。サラリーマンだった両親は退職して萩へ戻り、私たち家族は、新店街の1階で商店を経営しながら、2階の住居で生活をしていました。ちょうど両親と同じ世代の方たちがテナントに入られており、子どもたちもほとんどが同世代。当時は景気も良く、活気がありましたし、新店街は長屋のような建物ですから、家族ぐるみで楽しく生活していた記憶がありますね。ですが、10年ほど前には、景気の悪化に加えて、後継ぎがいないことから店を閉める方もおられ、半数近くが空き店舗となり、私自身も、どうしたものかと考えていました。

Q.そういった状況から、現在のように、ほとんどのテナントが埋まっているのは、どうしてだと思われますか?
A.基本的に、私共でテナントを選ぶことはしていないのですが、国道に面した場所だけは、他店舗と競合することのない飲食店を誘致したいと思っていたところ、萩に出店を検討していたマクドナルドが進出します。すると、空き店舗に飲食店が入るようになり、次第に、新たに事業を始めようと考えている、活気ある若い世代の方たちが、空き店舗にお問い合わせいただくようになりました。国道からも近く、周辺に学校やスーパーなども近いことから、人目にも触れやすいですし、いろんなジャンルの飲食店が入ることによって、集客も増え、活気も生まれたように思います。また、商店街には珍しく、管理がワンオーナーというのも大きいのかもしれません。交渉の窓口が一つですし、店舗もほぼ均一サイズですから、店主さんも借りやすいのかもしれませんね。

 

Q.今後については、どのようにお考えですか?
現実問題として、建物の老朽化があります。これは、今後5~10年を目途に、次の展開に向けて、何かしらの大きな決断をしなければならないと思っています。ですが、最近は、店主さんの平均年齢が下がり、私と同じ世代の方たちが増えており、子どもの頃にあった「横のつながり」が少しずつ戻ってきたように感じています。若い世代のアイディアはもちろん、設立当時から入られている方たちの知恵もお借りしながら、今後を見据えていきたいと思います。