連載 福岡で暮らす 萩LOVEパパの子育て記 第7回

福岡には無い「松陰先生のことば朗唱」。わが家では玄関で朗唱してから登校しています。小1ハルの3学期のことば。ついにわが子にもこのことばか。筆にも力が入りました。
萩に生まれ、私も幼少から慣れ親しんだことば。死刑7日前に家族におくった永訣の詩は、その前後、幕府への失望と神国を志士に託す一節も併せて読むことでその歴史的重みも感じるようになり。一方この詩が日々重みを増すのはやはり親となった自分の心に、ですね。
先日お姉ちゃんからの通報。「ハルが学校でたくさん嘘をついてる」と。中には将来が思いやられるものもありショックは大きく、家族会議に。一通り叱りつけたあと、どうすれば性根を入れ替えてくれるだろうかと、悩んだ末の会話を記します。
「今、誰に謝りたい?」「…友達と、先生」「だな。けどもう一人謝らないといけない人がいる。その人は、ハルが嘘をつくだびにとても傷ついてる。悲しんでる。それは誰?」「…わかりません」「毎朝玄関で読んでることば、言ってみなさい」

親思うこころにまさる親心 今日の音ずれ何ときくらん

「ハルさ、ママのことどのくらい好き?」「これくらい(手を肩幅に広げる)」「ちっちゃいよ。ママはな、ハルのことをこれくらい好きなんだよ(両手いっぱいに広げてかぶせる)。いつだってハルを応援してくれて、毎晩抱きしめて寝てくれる大好きなママ。ハルが友達や先生を平気で騙してるって聞いたら、どんな気持ちになると思う?」…この夜ハルは大粒の涙を流し、明日から嘘をつかない約束をしたのでした。
親に先んじてこの世を去る松陰先生の心中と、恵まれた小1息子の話を重ねるなど言語道断とは思いつつ、親心にとっては日々いろんなことが「今日の音ずれ」なんですよね。子の体、子の心のあり方。私自身、萩の両親の親心を思えば…ああ、今日1日の生き方、何ときくらん。