自然農法農家・中野茂樹さん「長門 自然農法の進め方と食べ物の秘密のお話」出版記念インタビュー

長門市日置で自然農法により農作物を栽培する農家・中野茂樹さん。一昨年12月に北浦リレーションシップでも紹介させていただき、当時、自然農法HOW TO本を自費で出版されていることを述べられておられました。そして、この度、第2弾となる「長門 自然農法の進め方と食べ物の秘密のお話し」の制作を終えられたとのことで、北浦うぇぶでは出版を記念して、自然農法の手引きを書籍化するに至った経緯から、中野さんの農業に対する思いなど聞いてきました。

■「長門 自然農法の進め方と食べ物の秘密のお話し」出版に至るまでの経緯の前に、中野さんが自然農法に従事するようになった経緯をお教えください。
-農業に従事するきっかけは、恥ずかしながら18歳のときに見た夢です。大変うなされた夢で、目が覚めたとき地球自然を守っていかないと…と思える内容でした。その後、大阪で自然農法をされている農家さんに出会い、自然農法を学び広めることで世の役に立てるのではと思いバイトをしながら農家さんの手伝いにいきます。しかしながら、その農家さんの手法に違和感を覚え一旦農業から離れ自然環境や環境問題について勉強を始めました。
28歳のときNPO法人秀明自然農法ネットワークに入り、自然栽培をしている農家へ身を置くのですが、10年経っても農家のレベルが変わっていなかったことに驚き、農家の皆さんが頑張っているのに上手くいかないことを何とか解決できないかと、先ずは種採りに関するところから注力し、研究を始めました。その時に、執筆しNPO法人秀明自然農法ネットワークとして出版させていただいた書籍が「自然栽培の手引き」で、この度出版させていただく本は実は3作目となります。

■地元日置に帰ってこられたのは?
-NPO法人には8年間ほど在籍し、6年前に戻ってきました。そして、それまでのノウハウを基に農家として独立するのですが、1年目は見事に失敗しました。それまで種採りが自然栽培の成功へ繋がる大きな要素だと思って研究し、本を書いていたのに愕然としました。

■そこから1作目となる「自然栽培 こうすりゃ育つ!どうしてできない」の出版に至ったわけですね?
-はい。失敗の大きな理由は土地の性質を考慮していないかったところにあり、その冬にユンボを使い、土地の性質改善を試験的に取組みました。その成果を書籍にしたのが「自然栽培 こうすりゃ育つ!どうしてできない」です。前作は、性質改善に着手した土と着手しなかった土とで比較して農作物を育て、育つ理由と育たない理由について書いたものです。

■それではこの度の「長門 自然農法の進め方と食べ物の秘密のお話し」の内容と執筆経緯をお教えください。
-これまでの経験を踏まえ、自然栽培には作物の性質以前に土地の性質が大前提ということを先ず知っていただきたいと思い執筆しました。この日置では、IターンやUターンで農業を始められる方がおられ、私のように何もわからず土地を借りて上手くいかない方の姿を見てきました。前作は土地の性質の違いについてで、今作はどちらかというと、今から農業を始める方や自然栽培が上手くいっていない人向けに、土地の条件を知ってもらい土地選びの判断基準となるようなものと、良い田畑の作り方のハウトゥー本として執筆しました。

■お話を聞けばきくほど、農業を始められた経緯からズレず、世のため、人のためという気概を感じさせてもらえます。
-現在、山口県の農業の成績は全国で一番低い位置にあります。その現状をどうにかしたいと考えています。土地の基礎条件の改善は個人農家ではとても難しいものです。新規就農者が増えるのは嬉しいことですが、収入に結びつかなければ継続は難しいです。また空いてる土地は悪い土地ばかりになっていて、前もって解決できる手段と方法を知ってもらうことで失敗を回避する率を上げれるはずです。また、新規就農希望者だけでなく、農業従事者だけでなく広く知ってもらうために自費出版という手段しかないなと・・・。

■初版は何部ですか?また、どのようなところで購入することができますか?
-初版は3000部となります。基本的には直販となり、長門市役所農林課内にある長門市自然農法研究協議会の方にお問合せいただけますと購入することができます。また、自然農法のイベントやセミナーなど開催されれば、会場に持ち込んで販売させていただきます。あと、「現代農業」などを出版されている農文協さんに持込むことにもチャレンジしますので、もしかしたら農文協さんからの出版物として増刷できるかもしれません。

■ありがとうございました。地域の農業のため、益々のご活躍を期待しています!