センザキッチン代表&道の駅・萩しーまーと新駅長 インタビュー その2-山口泉さん

今月7日(土)、長門市仙崎に、長門の豊かな食材と、長門の楽しい情報と、長門の充実した遊びを調理し、みなさまに振る舞うことをコンセプトとした施設 センザキッチンがオープンしました。また、萩市の道の駅・萩しーまーとでは、その運営手腕により全国屈指の道の駅として発展させた生きる伝説・中澤さかな駅長の定年退職にあわせ、後継者として新たな駅長が今年7月に就任しました。
今号の北浦うぇぶでは、タイミング同じくしてこの北浦で新しく誕生した施設の代表と新しく就任した駅長にお会いし、お話を聞いてきました。

萩しーまーと駅長・山口泉さん

yamaguchi

■前職は観光協会の職員としてご活躍されていましたが、萩しーまーとに転職された理由は?
-観光協会在籍中は、地域活性化のために地域資源を活用し、もっと地元に還元したいという思いで多くを学ばせていただき、いくつかの事業に携わらせていただきました。観光協会は行政の出先機関ではありませんが、官民のどちらかでいえば、官制色が強く、自分が取り組んでいることが、萩に還元できているのか、どれだけの費用対効果を生んでいるのか、具体的なところが解りづらく悩むことが多かったです。そんな矢先、萩しーまーとが職員を募集すると聞き、集客数や売上げがリアルに出てくる民間で、地域活性化に繋がることに取り組んで行きたいと一念発起し、転職しました。

■転職して2年半。今年7月に駅長に就任し3ヶ月が経ちますが、如何ですか?
-日に日にプレッシャーが増しているというのが現状です。応援していただける声が圧倒的に多いのですが、やはり偉大な前駅長の後継者として、中澤さんのように萩しーまーとの価値を高めてくれるのかという不安に思われる方も少なくはなく、直接ではないですが耳にすることもあります。萩しーまーとの駅長に就任したことが人に知られるにつれ、その影響の大きさを肌で感じています。とはいえ、不安ばかり思っていても良い事はないので、今は少しでも中澤さんに近づいていけるよう一歩一歩前に進んでいくだけです。

■女性の駅長って珍しいのではないですか?また女性ということで大変なことはありますか?
-そんなことはないですよ。現在日本各地には多くの道の駅があり、駅長や支配人と呼ばれる女性の方は少なくありません。ただ、各道の駅の運営形態は様々で、私たち萩しーまーとは施設内にお店を構える13事業所が協同組合を組織し運営しています。駅長が意見を出すと、各店長が応じてくれ、何かあればお店側からも意見していただける。開業から16年の積み重ねがあり、とても円滑に運営されていましたので、新参者の私はその環境に慣れ、各店の魅力を引き出せるよう努力し、地域の役に立つ施設に成長するよう取り組んでいくだけです。女性だから大変だと思うことはありません。あるとすれば、先ほどの話どおり、偉大な前任者の後継というだけです。

■今後の目標や取り組んでいきたいことはありますか?
-目先の話でいえば、来年の明治維新150年に向けて萩しーまーとから地元を盛り上げたいと考えています。現在、しーまーと内のレストラン3店(浜料理がんがん、維新亭、来萩)と、大つち、久光製菓とで歴史資源と食の資源を組み合わせた萩ならではの特産メニューの考案に取り組んでいます。幕末に活躍した志士たちの食に纏わるエピソードを洗い出し、萩博物館の学芸員・道迫さんを講師に迎えスタッフ向けの勉強会を行いました。料理のプロ、魚のプロ、和菓子のプロの方々が萩の歴史を知り、歴史と食の化学反応が発生するのではないかと期待しています。とはいえ、民間事業ですので、気持ちだけでなく、継続可能性から結果が駅長として求められます。観光協会での経験を活かしながら必ず形にしていきたいと思います。
それとこれから取り組まなければならないことの一つに、通販の売上げを伸ばしていかなければと思います。萩しーまーとの売上げは地元がメインとなっていますが、人口減少に伴いマーケットも縮小していく中、新しい販路を開拓していかなければなりません。現在でも通販は行っているのですが、主に企業間取引となっています。今後は一般消費者にも間口を広げて、萩産商材の品質と価格を納得していただいた上で、購買意欲が高まるよう企画していかなければなりません。その先駆けではないですが、萩の魚の価値を伝えられるように、今年より生産者、加工者、販売者の顔と生の声がわかる四季報「萩の浜新聞」を発行させてもらっています。
駅長を担うにあたり若輩者では済まされない立場ですが、萩しーまーとのスタッフだけでなく、漁師の方、市場の方、仲買の方に萩の魚について教わり、多くの人に助けられています。協力してくださる方々への感謝の気持ちを、ふるさと萩に貢献することで恩返ししたいです。

■ありがとうございました。